コラム
サイロが消える?
2018/6/26 考える知識
「牧場」と聞くと、牛舎から出された牛たちが牧草を食べ、遠くにはレンガでできた円柱状の高い塔がそびえる―――そんな情景を思い浮かべる人も多いでしょう。でも近年そういった光景は姿を消しつつあります。
そもそもあの塔は「サイロ」といって、飼料を発酵させるための設備。冬は家畜の餌となる牧草やトウモロコシが育たないので、夏のうちに発酵させて長期保存できるようにする必要があるのです。しかし刈り取った飼料をすべてサイロまで運ぶのは大変な手間がかかりますし、途中で雨でも降ったら台無しになります。もっといい手はないか―――そこで生まれたのが「ロールベールサイレージ」です。
刈り取った牧草をその場でロール状にまとめ、ポリシートでくるんで外気から遮断すると、2か月と経たないうちに良質な発酵飼料ができます。この手法でできた発酵飼料がロールベールサイレージです。この飼料は生の牧草より栄養価が高く味も良いので、競走馬にも好まれるとか。牧歌的な風景が失われるのは寂しくもありますが、今後より一層、従来のサイロに変わってロールベールサイレージの普及が進んでいくでしょう。