コラム

マリンスノー

2016/12/29 考える知識


 冬の寒さは辛いものですが、白い雪が舞い降りるさまを眺めていると楽しい気分になるから不思議ですね。そんな「雪」が海の中でも降ることをご存知ですか?

 マリンスノーと言って、白い粒が深海にゆっくり降り注ぐ様子が観察されることがあります。これらの正体は海洋生物の死骸や排泄物が分解されたもの。太陽の恩恵が受けられない深海の生物にとっては貴重な栄養源です。

ところでこのマリンスノーという現象、誰かが海をかき混ぜなくてはうまくいきません。一体誰が?―――答えはクジラです。彼らが餌をとるために泳ぎ回ることによって海水が縦方向に混ざるのです。近年捕鯨反対の向きが強まっているのにはこうした理由もあるのですね。

このように、物事には背景が隠されていることがあります。表層だけに捕らわれず、その奥にあるものをよく理解してから意見を持ちたいものです。

一覧へ戻る