コラム
リチウムイオン電池
2019/10/29 考える知識
2019年のノーベル化学賞が、リチウムイオン電池の開発に貢献した吉野彰さんら3人に授与されることが決まりました。何の役に立つのか一般人には分かりづらい研究が対象となりがちなノーベル賞ですが、リチウムイオン電池は、スマートフォンや電気自動車の心臓部などのバッテリーに使われている身近なものです。
従来の電池では「たくさんの電気を溜めておくこと」や「充電して何度も使うこと」ができませんでした。とても重い材料を使っていたので、持ち運びにも不便でした。ところが、1970年代にウィッティンガム氏が、リチウムという金属を電池のマイナス極に使うことによって「蓄電能力が高く、充電ができて、とても軽い」電池が作れることを発見したのです。しかし、その電池には破裂しやすいという欠点がありました。その欠点を解消し、より効率の良い製品に仕上げたのがグッドイナフ氏と吉野氏なのです。
蓄電能力が上がった現在のリチウムイオン電池には、環境に優しい太陽光電池や風力発電の、天候に左右されるという弱点を補う役割が期待されています。また、災害への備えになる点も評価されています。開発から40年越しの受賞にも、きちんと理由があるのですね。