コラム
リチウムイオン電池
2019/10/29 考える知識
2019年のノーベル化学賞が、リチウムイオン電池の開発に貢献した吉野彰さんら3人に授与されることが決まりました。何の役に立つのか一般人には分かりづらい研究が対象となりがちなノーベル賞ですが、リチウムイオン電池は、スマートフォンや電気自動車の心臓部などのバッテリーに使われている身近なものです。
従来の電池では「たくさんの電気を溜めておくこと」や「充電して何度も使うこと」ができませんでした。とても重い材料を使っていたので、持ち運びにも不便でした。ところが、1970年代にウィッティンガム氏が、リチウムという金属を電池のマイナス極に使うことによって「蓄電能力が高く、充電ができて、とても軽い」電池が作れることを発見したのです。しかし、その電池には破裂しやすいという欠点がありました。その欠点を解消し、より効率の良い製品に仕上げたのがグッドイナフ氏と吉野氏なのです。
蓄電能力が上がった現在のリチウムイオン電池には、環境に優しい太陽光電池や風力発電の、天候に左右されるという弱点を補う役割が期待されています。また、災害への備えになる点も評価されています。開発から40年越しの受賞にも、きちんと理由があるのですね。
...続きを読む世界に誇る児島のジーンズ
2019/10/3 考える知識
高い品質で海外のジーンズファンからも高い評価を得ている岡山のデニム。岡山の中でも特に倉敷市児島はジーンズの街として知られていますが、そもそも何故この地でデニム産業が栄えたのでしょうか?
昔、児島は名前の通り島でしたが、江戸時代初期に干拓によって本土と陸続きとなりました。干拓地の新田はもともと海だったことから塩気があり、それが抜けるまでは米などが栽培できないので、米が作れるようになるまでの間のつもりで塩気に強い綿花の栽培を始めたところ、大成功し、その後も引き続き栽培されるようになったという歴史的な背景があります。更に、倉敷市と同じく岡山にある井原市は、江戸時代から藍染めを得意とする地域でした。そこで綿や藍染めを活かし、戦後になってジーンズが作られ始めたという訳です。
現在岡山では、ジーンズ作りに必要な工程のほとんどを県内で完結させることができます。世界に誇る「岡山デニム」は、地元の特産が上手く組み合わさって作り出されているのです。
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