コラム

津田梅子

津田梅子

2019/4/26 考える知識

先日、紙幣のデザインが刷新されることが発表されましたね。一万円札の肖像には渋沢栄一、五千円札の肖像には津田梅子、千円札の肖像には北里柴三郎が起用される予定です。中でも今回は「女子教育の先駆者」とされる津田梅子についてお話ししましょう。

津田梅子は、明治になって欧米に派遣された岩倉使節団に随行してアメリカに留学した幼い少女5名の中の1人でした。帰国後、梅子は女学校の先生になります。ここで引用したいのが、教え子・山川菊栄が残した梅子についての言葉。

「あのまあるい拳を固めて机を激しく続けざまに叩きながら『ノウ、ノウ、ノウ、ワンスモア、ワンスモア』と荒々しく叫んで、何十返となく発音を繰り返させられた。(中略)あの真剣な、命がけの熱心さ、生徒の出来不出来に伴う子供らし不機嫌、無邪気な笑ひ!先生の命はあの中にあったのだ。」(原文ママ)

かなりの熱血ぶりが伺えますね。日本の女子に最高の教育をほどこすことこそが自分に与えられた使命だと信じた、津田梅子ならではのエピソードでしょう。

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とろーり卵の謎

とろーり卵の謎

2019/3/27 考える知識

 物価の優等生とも言われる卵。安価で手に入り栄養価も高く、様々な料理に利用できる食材です。とろりとした食感の半熟卵や温泉卵はトッピングとしても人気があります。ところで皆さん、半熟卵と温泉卵の違いは説明できますか? 一般に、半熟卵と呼ばれるのは、白身は固まっており黄身は固まっていないもの。温泉卵と呼ばれるのは、黄身は固まっており白身が固まっていないもの。よく混同される両者ですが、別物です。

 外側にある白身は固めず黄身だけ固めるなんて難しそうですが、温泉卵の場合は黄身と白身の凝固点(固まる温度)の違いを利用しています。黄身は70℃以上、白身は80℃以上で固まるので、70℃くらいのお湯で時間をかけて茹でると温泉卵になるのです。昔の人たちはそれを分かっていて、熱い温泉に卵を浸けておいたというわけですね。

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セルシウスさんとファーレンハイトさん

セルシウスさんとファーレンハイトさん

2019/3/4 考える知識

 私たちはものの温度を表すときに「度」を単位として使いますね。しかしこの「度」にも2種類あるとご存知ですか?

日本で主に使われているのは「摂氏」。水が氷る温度を0度、沸騰する温度を100度とする温度の表し方で、摂氏40度を記号で表すと「40℃」となります。対してアメリカなどで主に使われている「華氏」。水が氷る温度を32度、沸騰する温度を212度とする温度の表し方で、華氏120度を記号で表すと「120℉」となります。

どうしてこんな呼び名や単位なのでしょう。それは創始者である科学者の名前が関係しています。摂氏の生みの親はCelsius(セルシウス)、中国語では「摂爾修斯」と書きます。華氏の生みの親はFahrenheit(ファーレンハイト)、中国語では「華倫海」と書きます。つまり摂氏・華氏という呼び名はセルシウス氏・ファーレンハイト氏の略なのです!

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静電気で感電死しないのはなぜ?

静電気で感電死しないのはなぜ?

2019/1/29 考える知識

 前回のコラムで、静電気についてお話ししました。今回は静電気の威力について掘り下げてみましょう。

 一般的に私たちが感じ取れる静電気の電圧は200010000Vくらいだと言われています。(それより小さな電圧だと、よほど電気を流しやすい物質にしか放電が起こりません。)電圧というのは「電気が流れる勢い」のことです。感電による死亡事故を起こすこともある家庭用コンセントの電圧で100Vですから、その10倍以上だなんて、とても危ないように思えますね。しかし静電気で感電して亡くなった人の話は聞いたことがありません。何故でしょうか。

 それは流れる電気の量が少ないからです。衣服などが擦れて蓄えられる静電気は微々たるもの。1mA程度です。いくら勢いが良くてもそもそもの量が少ないので大した威力にはなりません。

 ちなみに、落雷の電圧は2000010V、電流は1000500000Aと言われています。1Aでも場合によっては命に関わりますから、こんなものが当たったらひとたまりもないですね!

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静電気ってそもそも何なの?

静電気ってそもそも何なの?

2018/12/27 考える知識

 静電気の起こりやすい季節となりましたね。化繊のセーターを着ているときなど、車のドアに触れるのに勇気が要ります。ところで、静電気とはそもそも何なのでしょうか。

ものは皆、元々プラスの電気の粒とマイナスの電気の粒を同じ数ずつ持っているのですが、擦れ合うと片方のもののマイナスの電気がもう片方のものに移動するはたらきがあります。この電気の移動こそが静電気です。(なおプラスの電気とマイナスの電気は引き合う性質があり、プラス同士・マイナス同士の電気は退け合う性質があります。擦り合わせたしたじきと髪がくっついたり、ビニール袋の切れ端が本体から逃げていったりするのはそのためです。)そして移動を重ね溜まりに溜まったマイナスの電気がものの外へと逃げていくときに、放電が起こります。それがあの「バチッ!」という音と痛みの正体です。

ちなみに、雷も雲の中で起きた静電気の一種だとご存知ですか? ときには大きな被害をもたらす雷と、私たちのセーターで起こる静電気が同じものだなんて、不思議ですね。

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リモネン

リモネン

2018/11/29 考える知識

 今年もミカンの季節がやってきました。町行く子供からミカンの香りがすると、もうすぐ一年が終わってしまうのだなと実感します。

 さて、そのミカンの香りですが、「リモネン」という成分が由来だとご存知ですか?ミカンを始めとする柑橘類の果実の皮をよく見てください。表面にたくさん、透明の液体が入った粒(油のうと言います)が並んでいますね。あの中には揮発性の油が詰まっていて、その油の主成分が「リモネン」です。

 リモネンには油汚れを落とす作用があるので、ミカンの皮でキッチン回りを掃除すると大変綺麗になります。年末の大掃除で活用してみるのも面白いかもしれません。ただし、リモネンには油汚れだけでなくゴムや発泡スチロールを溶かす働きがあるので、注意してくださいね。

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どっちが上弦?どっちが下弦?

どっちが上弦?どっちが下弦?

2018/10/29 考える知識

 月を表す日本語は数多くありますが、中でもユニークなのが「上弦の月」と「下弦の月」ではないでしょうか。

 この2つはともに半月で、月を弦の張った弓に見立てたものですが、右半分が輝いている月を「上弦の月」、左半分が輝いている月を「下弦の月」と言います。同じ半月を左右で呼び分けるのは、恐らく日本くらいなものです。呼び分けの由来は諸説ありますが、有名なものは次の2つ。1つ目は、太陰暦(新月から始まる月の満ち欠け1周を一か月とする暦)を使っていた時代に、月の前半(上旬)の半月を上弦の月、月の後半(下旬)の半月を下弦の月と呼んだというもの。2つ目は、西の地平線に沈む時に、弦が上に位置しているか、下に位置しているかでどうかで呼び分けたというもの。地球から見て、月はワイパー状に動いていきますから、上弦の月は弦にあたる部分を上にした状態で沈んでいくというわけですね。

 (さく)三日月(みかづき)望月(もちづき)十六夜(いざよい)有明月(ありあけづき)……他にもたくさん月の名前がありますから、興味があれば調べてみてくださいね。


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助数詞

助数詞

2018/9/27 考える知識

 日本語にはたくさんの「助数詞」がありますね。助数詞というのは「1個、2個」の「個」や「1本、2本」の「本」など、ものを数えるときに添える言葉のことです。あまりに多くて、日本語を母語としている私たちですら使い分けに苦労することがあります。

 例えば鳥は「1羽、2羽」、小動物は「1匹、2匹」と数えるのが基本にもかかわらず、ウサギは「1羽、2羽」と数えます。あるいは大型の家具は「1台、2台」と数えるのが基本ですが、箪笥(たんす)は「1(さお)2棹」と数えます。ややこしいですね。でもこれらの数え方には由来があります。

 調べると、ウサギを「羽」で数えるのは、仏教の教えで四つ足の獣を食べてはいけないとされていたお坊さんたちが「ウサギは鳥の仲間だよ!」と言い張ってまで食べたかったから……箪笥を「棹」で数えるのは、江戸の華である火事から逃げる際に棹を通して箪笥を担いだから……などのユーモラスな説がたくさん見つかります。不思議な助数詞に出会ったら、由来を調べてみるのも面白いですね。

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シルバーウィーク

シルバーウィーク

2018/9/7 考える知識

 9月には国民の祝日が2回あります。敬老の日と秋分の日です。おかげで今年は3連休が2回あるという人も多いのではないでしょうか。こうした連休を利用して、美術館や博物館に行ったり、じっくり本を読んだりするのも良いですね。

 ところで、この9月の連休期間、年によっては5連休が発生することをご存知ですか?

日本では、祝日法によって「国民の休日」が定められています。前後を祝日に挟まれた日は、平日であっても休日になるのです。

そのため、秋分の日が921日・22日・23日のいずれかで、かつ水曜日だった場合、その2日前は必ず9月の第3月曜日なので敬老の日となり、その両日に挟まれた火曜日が国民の休日となります。この結果、人によっては土曜日から水曜日が5連休になるというわけです。

ちなみに、再来年は4連休が3回発生します。何月のことか、探してみてくださいね。

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保存の知恵

保存の知恵

2018/7/30 考える知識

 前回、ロールベールサイレージについてお話ししましたね。あれは家畜の飼料を長期保存するための工夫でしたが、どうして発酵させると飼料が腐らないのでしょう?

 そもそも食べ物が「腐る」というのは、動物にとって毒になる菌が繁殖すること。一方「発酵」というのは、動物にとって良い菌が繁殖すること。サイレージの場合、自然に存在する良い菌を繁殖させることによって、悪い菌が繁殖する隙を与えないというわけです。人間の食べ物でも、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、同じ仕組みで長持ちします。

 また、別の方法で悪い菌が繁殖しないように工夫した食品もあります。例えばコンビーフや新巻鮭のような「塩漬け」は、塩で水分を抜くことによって悪い菌が生きていけないようになっているし、寿司や〆鯖などは、お酢の抗菌作用によって悪い菌を寄せ付けにくくなっています。

 こうした調理方法は、食べ物をより美味しくより安全に長期保存するための先人の知恵なのですね。

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